工学部同窓会 メールマガジン 第14号
大阪市立大学 工学部 同窓会 〈 2019.9.30 発行 〉
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┏┏┏┏ 工学部同窓会メールマガジン 第14号
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工学部 同窓会メールマガジン第14号を発刊します。
このメールマガジンは、3ヶ月毎に発行しています。
工学部同窓会ウェブサイトに掲載された記事や同窓会事業、イベントの紹介に加えて、同窓会役員によるリレーコラムを掲載しています。
次号 第15号は1月1日発行の予定です。
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★☆ リレーコラム vol.14 ☆★ 同窓会副会長 日野 泰雄(昭和50年卒 土木)
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今年度から副会長を拝命しました。2017年3月に市大を定年退職し、4月には名誉教授を拝命しました。現在は、非常勤講師と都市研究プラザ特別研究員、工学研究科特任教授と肩書だけはたくさんいただいています。また、全学同窓会監事と文化交流センター専門家講座企画委員会委員も拝命し、少しずつですが在籍中の恩返しに励んでいます。
退職後は、日々の過ごし方に不安を抱きながらも、母親や孫の慶事(2度の初節句では渋滞の中果敢に香川まで運転!)、学会だけでなく旅行(今年6月にはダイヤモンドプリンセスで8日間のクルーズも経験!)も楽しみつつ、適度な活動量を維持しています。
ところで、コラムの執筆に当たっては、前会長(現事務局長)から、「少しはためになること」をと難しい注文をいただきました。役に立つのかとどうかはわかりませんが、現在もお手伝いしている交通行政について、嘆きとも憤懣ともつかない現状を踏まえつつ、一緒に考えていただくきっかけをご提供できたら幸いです。加えて、そういう理由で、少しばかり堅い話になりそうですが、少しの間、お付き合いください。
我が国の戦後復興の経済政策とモータリゼーションの伸展、さらに自動車の普及から大衆化を経て、交通渋滞、駐車問題、交通事故、交通環境悪化等々の問題への対応は、まさに我々交通工学・計画の研究者の経験そのものでした。で、今は、高齢化が進む中、ICTの活用が期待されてはいますが・・・・
複数の自治体では、公共交通(特にバス)の「維持」に苦慮し、市民の移動サービスのため多額の税金による赤字補填を余儀なくされています。これに対して、国も「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」の施行などで対応しているものの、その一方で、自動車の駐車利用金が安価になり、加えて自転車活用推進法の施行に至って、ますますバス利用の環境は悪化していると言わざるを得ません。翻って、欧州で近年自転車施策が急速に進展しているのは、道路空間再配分とも相まって、まさに環境対策であるのに対して、我が国の自転車活用推進の目的はいかにも不明確に思われます。
このような状況に対して、情報企業や自動車メーカーなどによるICT技術を活用したタクシー等の配車サービスや国を挙げての自動運転技術の開発が進められています。一方、フィンランド等では、同じICT技術を活用しながら、公共交通を中心としたモビリティの統合サービスとしてMaaS(Mobility as a Service)の概念が進展していますが、日本版MaaSが本来の意味を失わないことを祈るばかりです。また、自動運転には、技術たな課題に加えて、責任という最後のハードルが立ちはだかります。やはり、自動化にばかり頼らないシステムの再考もまた、今求められています。最近特に問題となっている「あおり運転」等の危険行動への対応も必要ですね。
道路に目を転じてみると、欧米に遅れつつも、人口や移動量の減少から、既存道路空間の再配分の取り組みも進められていますが、欧州のような公共交通のための空間への転換例が少ないことが懸念されます。何が優先されるべきか、その道標が見えますか?
ということで、交通政策についても一言。2013年に我が国でも「交通政策基本法」が成立し、交通分野での長期政策とそれに基づく施策の検討が期待されましたが、フランスの「交通基本法」(1983年)と比べてみると、「あらゆる人々が自由に移動できる権利としての交通権」は明示されず、「交通政策の意義と責務」「公共交通の整備・維持」「交通政策の策定と地方分権推進」などの具体的な記述もみられないようです。
総じて、我が国では多様な交通施策は存在するものの、真の意味での交通政策が不明確であるため、それらの施策が十分に機能しないばかりか、相反することも否定できないのではないでしょうか。
最後に、公共交通を維持することが目的ではなく、高齢者をはじめ、誰もが移動できる仕組みが必要で、さらに言うならば、目的(行先)をいかに創出するかが大事で、それによってまちは賑わい、移動を含めた活動量も増え、健康増進にもつながることが期待されます。そのためにも、いくつかの自治体に、退職者の人材バンクの作成と活用、駅前ビルの屋上にちっちゃな遊園地の復活を提言しているのですが・・・
先進国ならば、そんな「まち」と「交通」を実現するための「政策」を期待したいですね。
【付録】
家族5人で東京へ行くことを想定して、英国のFamily & Friends Railcard of National Railを使えると仮定すると、概ね半額程度になります。London Transportでは、シングルチケットがOyster Card of Off-peak dayだと半額以下になり、かつすべての公共交通が乗り放題になります。そこには、家族にやさしく、地球にやさしい都市を目指そうとしていることがわかります。
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▼ ★☆ 2019年 7月~9月の同窓会 ニュース ☆★
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2019.09.26 第24期 第3回理事会 報告
https://osaka-cu-eng.net/info/2019/09/26110327
2019.09.19 11月3日にホームカミングデーが開催されます
https://osaka-cu-eng.net/info/2019/09/19150043
2019.09.19 新大学基本構想公表
https://osaka-cu-eng.net/info/2019/09/19150023
2019.08.09 市大点描 第5号 オープンキャンパス準備中
https://osaka-cu-eng.net/info/2019/08/09123150
2019.07.23 第24期 第2回理事会 報告
https://osaka-cu-eng.net/info/2019/07/23101230
2019.07.10 市大点描 第4号 2019年7月
https://osaka-cu-eng.net/info/2019/07/10150322
2019.07.09 第10回 学生見学会 参加募集のご案内
https://osaka-cu-eng.net/interaction-with-students/2019/07/09213749
2019.07.06 2020年度 工学部同窓会奨学生募集のご案内
https://osaka-cu-eng.net/alumni-scholarship/2019/07/06094101
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▼ ★☆ 2019年 4月~6月の同窓会 記事リスト☆★
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2019.06.25 市大点描 第3号 2019年6月
https://osaka-cu-eng.net/info/2019/06/25162134
2019.06.13 工学研究科教員と同窓会役員・理事との懇談会・懇親会報告
https://osaka-cu-eng.net/activity/2019/06/13213601
2019.06.01 大阪市立大学工学部電気工学科第12回杉友会報告
https://osaka-cu-eng.net/activity/2019/06/01233041
2019.05.26 坂本真宏選手WBOアジアパシフィックフライ級王座決定戦報告
https://osaka-cu-eng.net/topics/2019/05/26235109
2019.05.21 大阪市大電気機器研ゴルフコンペの報告
https://osaka-cu-eng.net/activity/2019/05/21215452
2019.05.20 市大点描 第2号 2019年5月
https://osaka-cu-eng.net/info/2019/05/20160706
2019.05.19 第128回大阪市立大学ボート祭 5月18・19日 報告
https://osaka-cu-eng.net/activity/2019/05/19024220
2019.05.14 市大点描 第1号 2019年5月
https://osaka-cu-eng.net/info/2019/05/14162757
2019.04.18 第24期 第1回理事会報告
https://osaka-cu-eng.net/info/2019/04/18142022
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